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日本の高齢化率(65歳以上の高齢者が全人口に占める割合)は欧米にも類を見ないスピードで右肩上がりで上昇し、現在は20%を超え、5人に1人が高齢者という時代です。さらに第一次ベビーブーム世代が65-75歳を迎える2015年以降、日本は未曾有の超高齢化社会に突入します。それに伴い、現在170万人と見込まれる認知症高齢者は同じく2015年には250万人になると予想されています。厚生労働省は2005年から「認知症を知り地域を創る10カ年構想」を掲げ、認知症高齢者の受け皿作りの政策医療に懸命となっています。その一方で、国民1人1人にとっての重大な関心事は、認知症を発症してからの自分ではなく、いかに認知症を予防し健康で明るい長寿を迎えるかにあると思います。
アルツハイマー病は、物忘れを初期症状とし、進行性に脳の機能が衰えていってしまう病気です。アルツハイマー病は認知症の原因として最も多いもので、その患者数は社会の高齢化を反映し増加の一途をたどっています。高齢者でみられる物忘れには、加齢にともなう“良性”の物忘れと、認知症の一症状である“悪性”の物忘れの二種類があります。しかし、“悪性”の物忘れが出始めたばかりの初期段階では、“良性”の物忘れとの区別が付きにくく、早期にアルツハイマー病の診断をつけることが難しくしばしば病気が見過ごされています。一方で、アルツハイマー病の根本治療薬の開発も目覚しい進歩を見せ、近い将来アルツハイマー病の進行が食い止められることが期待されています。それには早い段階でアルツハイマー病を診断することが必要不可欠になってきます。
早期のアルツハイマー病では、脳機能テストでは大きな変化がみられないにも関わらず、一部では脳細胞が消滅し、脳のエネルギーであるブドウ糖代謝は変化し、脳内にはアミロイドβ蛋白と呼ばれる物質が蓄積することがわかってきました。正常から軽度認知障害と呼ばれる“悪性”の物忘れが出始めたばかりの段階へ、また軽度認知障害からアルツハイマー病へと進行する過程を脳画像検査や心理検査などを詳しく行って長期間観察することによって、MCIからアルツハイマー病への進行を予知する方法を見出し、新しい治療法の効果を正確に評価することが可能になります。
私たちは日本人のアルツハイマー病の克服を目的に、米国のADNIと同じ方法を使って、病気の進行の過程を忠実に示す客観的な評価法の確立を目指し、J-ADNI(アルツハイマー病の克服をめざす全日本臨床研究)という研究を始めました。この研究では、全国の健常な高齢者の方々、軽度認知障害(MCI)、そして初期のアルツハイマー病の方々にご協力いただき、脳画像と血液や尿などについて、半年おきに、2年もしくは3年間の追跡調査を行うことを計画しています。ボランティアの皆様から頂く貴重なデータをもとに、将来のアルツハイマー病の予防、克服を目指す、非常に意義のある研究です。
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